スポチャンとは
得物と種目(「スポチャン教本」より)
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1, 小太刀 全長60cm以下
種目:小太刀の部
スポチャンは小太刀にはじまって小太刀に終わる、と言われるくらい人気の高い種目です。またスポチャンの基礎にもなっています。
小太刀は、雑誌や木片など身近にあるもので戦えるため実用性があり、手軽にできることが護身道として最適であり、特に女性の人気が高い。小太刀は短いが、技を習得すればそのスピードは長い得物を圧倒することもあります。
小太刀 試合稽古 動画
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2, 長剣 全長100cm以下
種目:長剣フリーの部
長剣は、両手でも片手でも良いのですが、競技会を重ねるごとに片手操法が多数を占めるようになりました。これは両手操法の敗北を意味します。この片手操法もレビアのような突きより、払い薙ぐサーベル的な操作が有利なことも実践から明らかになっています。
長剣フリー 試合稽古 動画
種目:長剣両手の部 [両手]
この構えは日本流です。世界は圧倒的に片手での使術が多いのですが、両手使術は時代劇などに大いに影響され、未だに日本人に受け入れられています。足のディフェンスが甘く、相打ちが非常に多い構えです。
種目:二刀の部
(公式戦における小太刀と長剣の組み合わせは、全長160cm以下となります。)
日本で二刀と言えば宮本武蔵を思い起こす程特異な構えとされていますが、ヨーロッパのある国では、正規軍全員が二刀という程、世界的にはポピュラーな構えです。左前でも右前でもよく、小太刀はディフェンスとして使われる事が多いですが、打突も有効です。
組み合わせとして、
(1) 小太刀と長剣の二刀:160cm以下(現在の公式戦はこの二刀)
(2) 小太刀と小太刀の二刀:120cm以下(幼年はこの二刀が扱い易い)
(3) 長剣と長剣の二刀:200cm以下(元来はこの二刀)
二刀 試合稽古 動画
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3, 楯 全長45cm以下
日本では、楯を持って戦うことは戦国時代でもあまり見ません。
しかしヨーロッパやアフリカでは楯を使う剣術がかなり発達しており、ディフェンスとオフェンスが同時に使え合理的です。
種目:楯小太刀の部 全長100cm以下となります。
左手(又は右)に楯を持ち右手(又は左手)に小太刀で戦うもの。
種目:楯長剣の部 全長140cm以下となります。
左手(又は右)に楯を持ち右手(又は左手)に長剣で戦うもの。
特にデフェンスにおいて、小太刀より長い分有効です。
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4, 杖 全長140cm以下
種目:杖の部
杖は棒の短いものと長剣の柄の長いものの二種類があります。その他に、三節棍(さんせつこん)やチギリ木、ヌンチャク、鎖り鎌、トンファなど様々な武器がありますが、すべてこの分野です。はじめの頃はヌンチャクなどもありましたが、練習ではあまり良い結果が出ず、やはりシンプルな得物に人気が集中していましたが、近年ファン(愛好者)が増えてきました。
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5, 棒 全長200cm以下
種目:棒の部
棒は使い慣れると非常に面白みのある多彩な技が発揮できます。長剣や二刀と戦うと非常に有利ですが、槍などには不利となります。棒先や棒尻を交互に使う左右打ちや、一回転して反動を利用して打つ回転、横面打ちや足打ちなど、相手の意表をつく攻撃は、功を奏します。棒も近年ファン(愛好者)が増えてきました。
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6, 槍 全長200cm以下
槍をスポーツとして研究することは、非常に意義のあることです。
銃を除き、人類が手に持って戦うもので槍ほど戦果をあげたものはありません。単純で直線的な強さは、古くから戦闘の中心になって活躍しました。やはり長い得物の中では槍が一番人気のある種目です。
日本で槍と呼んでいるものは、棹状(さおじょう)武器の一種で短い刃物に長い柄をつけ、突き刺し、殴打、断ち、斬る、引き倒すものを言います。柄の長さの分、間合いが取れるので短い武器の機先を制する事ができます。このような利点から、多くの国の多くの種族に時代を超えて多種多様な棹状武器、中でも槍が大活躍しました。また槍と鉾(ほこ)とは同類です。
槍は扱い慣れれば動作は極めて単純で、剣の比ではありません。しかも容易に使い方が身につくので鉄砲が普及するまでは、槍だけで名を馳せた豪傑がたくさん現れました。戦国武士が残したこの無駄のない槍を今、楽しいスポーツとして後世に伝えていきます。
種目:短槍の部 全長100cm以下 (長剣のエアーソフト剣を使用)
小学生では2メートルの長槍の操作は先ず無理です。小学生でも楽しめるように先ずはこの短槍から始めるのが良いでしょう。短槍を巧みに使うのは、長槍より攻防の幅があって極めて実用的です。突いたり払ったり、避けたりと、かなりショートレンジでスピーディーな刺突の攻防を理解し楽しむ競技です。
種目:長槍の部 全長200cm以下
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7, 長巻 全長200cm以下
種目:長巻の部(長槍のエアーソフト剣を使用)
なぎなた、長巻(刀に長い柄をつけたもの)、大身槍(おおみやり 穂先は30cm以上のもの)などの使術に大きな差はありません。突くか、薙ぐ(なぐ)かのどちらを主にしているかで名称を分けているだけです。しかも実践になれば、突く、薙ぐ、払う、叩く、打つなど、その時々によってありとあらゆる使術が自然に飛び交うのです。
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8, 短刀 全長45cm以下(小太刀を使用する場合は、全長60cm以下となります。)
種目:短刀の部
突く部位は面と胴で、致命傷になる部分です。かばい手や足を突いた程度では決定打とは言えず、腹部を中心に胸や喉などを突くことが重要になります。45cm以下には投げ技、蹴り技、捻り技などが認められています。しかし、ダウン以外は有効打とは見なされません。
競技上の留意点は蹴り技を認めていることです。蹴り技に恐怖心を抱く場合がありますが、この部門では蹴り技を克服することが狙いであるので、怖がらずに行います。また、刃物に対しての蹴りや投げ技は過信しては行けません。刃物はひと突きで生命を奪うのです。(但し、大会によっては、安全のため投げ技、蹴り技、捻り技を禁止する場合があります)
種目:楯短刀の部
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9, 異種
刀と槍ではどちらが強いのでしょう。二刀と槍とではどうでしょう。
それらは使うものの技量の差はあれ、武器の長短で優劣はつけられません。強いて差を探すなら、それは間合いの差です。このことから言えば、長いものが有利でしょう。しかし手元に飛び込まれたり、得物を押さえられたりすると、長さが邪魔になることもあります。短刀と小太刀、短刀と長剣などでも短いものが勝つ場合があります。
種目:合戦の部
「いくさ」は、最もポピュラーな戦闘法として行われていましたが、現在はこのように大人数の競技はあまり行われていません。しかしスポチャンでは、この合戦も取り入れています。20人対20人、50人対50人で戦うのです。
稽古は紅白に分かれ正対し、はじめの合図で開始します。人数が多く審判が勝敗を決するのが難しいので自己申告制とします。効果的なダメージを受けたと自覚した者は、試合場から出るか、その場に座るなど分かり易くします。
競技方法は、得物を限定(小太刀のみなど)する「限定戦」と「得物自由戦」があります。
合戦の一番の狙いは、自覚にあります。打たれた、突かれたことで負けを素直に認めることが最も重要です。自覚の足りなさや卑怯な振る舞いがあれば、試合は成立しません。スポチャンでは目的の一つに人格形成を掲げていますが、これを育てるためにも合戦は格好の舞台と言えます。爽やかに負けを認め、爽やかに勝者を讃えるのです。また最近は紙風船を頭や足などに付け、割られたら負けなどと分かり易い方法も人気があります。
尚、公式戦では選手が持つ得物の長さの合計が320cm以下としています。
(320cmルール)
種目:乱戦の部
乱戦は1人と2〜3人、2人と3〜5人が一度に戦う事を言います。乱戦では、1対1では得られない、左右前後の気配りやお互いの連携、または集団の中での自分の役割など、多くの事を学ぶことができます。
大人1人と子ども2人とか、先生やチャンピオンに3人掛けとか、様々なバリエーションで楽しみながら公平感の持てるように工夫します。
(撮影:2013年)
320cmルール解説
(2010年より本部主催大会の団体戦(クラブ対抗戦)は320cmルールで実施しています。)
1チームの得物の長さを足して320cm以下でなければなりません。
それぞれの長さは次のように定めます。
- 45cm:短刀
- 60cm:小太刀
- 100cm:長剣、長剣両手、楯小太刀
- 140cm:杖、楯長剣
- 160cm:二刀
- 200cm:長槍、棒、長巻
《 組み合わせ例 》
- ○ 小太刀60cm x 5人 = 300cm
- ○ 長剣100cm x 3人 = 300cm
- ○ 槍200cm + 小太刀60cm x 2人 = 320cm
- ○ 槍200cm + 長剣100cm = 300cm
- ○ 楯小太刀100cm x 3人 = 300cm
- ○ 二刀160cm x 2人 = 320cm
- ○ 小太刀60cm x 2人 + 長剣100cm x 2人 = 320cm
- × 棒200cm x 2人 = 400cm
[ 320cmルールについての注意事項 ]
* 審判員は、1級主任審判員・1級検査役の3名以上で実施する
* 負けた選手は場外に直ちに出る事。場外に出ない選手は審判員が出るように指示する。
* 原則として異議の申立ては認めない。
* 選手の男女別・年齢制限はありません。
* 勝抜き、又はトーナメント、高得点制とする。